「QED源氏の神霊」高田崇史氏の人気シリーズ、今度の題材は源頼政です。

書籍

人気作家、高田崇史氏の「QED源氏の神霊」という作品を読みました。
面白く読めたので、以下にレビューさせていただきます。

QEDシリーズとは?

「QED」というのは「証明終了」という意味です。
この作品では決め台詞のようになっています。
高田崇史氏の人気シリーズで、派生作品も含めると20冊以上、発刊されています。
毎回、歴史の謎と現代で起こる殺人事件がリンクしていて、両方の謎を解く楽しみがあります。
以前、「優曇華の時」という作品を紹介させていただいたこともあります。
主人公は桑原崇、通称タタルと、棚旗奈々のふたりです。
謎を解くのはいつもタタルの方ですが、作品自体は奈々の視点で描かれています。
ふたりとも本業は薬剤師なのですが、なぜか行く先々で事件に巻き込まれます。
タタルは趣味が神社仏閣や有名人の墓参りをすることで、歴史学者顔負けの知識を持っている設定です。
彼の口から長々と語られる歴史ウンチクはマニアにはたまりません。
また、毎回解かれる謎は、これまでの定説を大きく覆すものが多く、歴史マニアを唸らせてくれます。

今回の題材は源頼政です。

源頼政と聞いて、ピンと来る人は歴史マニア以外には少ないかもしれません。
ですが、宮中に現れた鵺(ぬえ)を退治した人物と聞いたら、「ああ……」と思われる方もいるのではないでしょうか?
従三位(じゅさんみ)の地位を授けられ、源三位(げんさんみ)とも呼ばれた人物です。
和歌の名手としても知られています。
77歳にして平家打倒の兵を挙げたものの、結局、敗れて自害し、京都亀岡に胴は埋葬されました。
しかし、三位の地位を授けられ、77歳の老齢なら隠居していればいい立場にありながら、彼は挙兵したのか?
しかも、亀岡にあるという頼政塚は粗末に扱うと祟りをなすとして知られているわけですが、なぜ彼は怨霊のように扱われているのか?
今回、それらの謎が解かれます。

簡単なあらすじ

京都、亀岡の頼政塚にて、一人の男の惨殺死体が見つかります。
その後は山口県、壇ノ浦にて殺された男の死体や、犯行を自供して自殺した女性の死体が……
たまたま奈々の妹の結婚式で京都に来ていた崇と奈々は、宇治の平等院や滋賀県大津市にある今井兼平の墓など源氏ゆかりの地を散策していました。
しかし、奈々の妹の結婚相手でもあり、崇の友人でもあるジャーナリストの小松崎に誘われ、京都府警に知り合いがいたこともあり、またもや事件解決に巻き込まれるのでした。
殺人事件に源平合戦のことが絡んでおり、崇の知識と洞察力で解決されます。

今作にて解かれる謎(抜粋)

・なぜ、源頼政は77歳の高齢で、寡兵にも関わらず、平家に対して挙兵したのか?
・なぜ、源頼政が怨霊のように扱われているのか?
・松尾芭蕉はなぜ木曽義仲の墓の隣に墓を作ってくれと懇願したのか?
・松尾芭蕉の墓はなぜ三角形なのか?
・巴御前はなぜ木曽義仲と最後をともにしなかったのか?
・木曽義仲が朝日将軍と呼ばれた由来は?
・安徳天皇はなぜ海の底に沈む羽目になったのか?
・平氏は得意な水軍戦でどうして源氏に敗れたのか?
いつものことながら、たくさんの資料の読み込みと、視点を変えた歴史解釈に脱帽します。

私的感想

作品序盤から引き込まれて、一気に読んでしまいました。
ただ、今回の作品は過去の高田崇史作品を読んでいないとわからない部分があるかもしれません。
例えば、古事記異聞のキャラクターが途中登場したりしますし、源平合戦の本質や、安徳天皇に関する考察は、別作品で触れられているものでもあり、いきなり今作を読むとわかりにくいかもしれません。
私も過去作品を読んでいながら、忘れていることが結構ありました。
とはいえ、歴史マニアなら引き込まれる作品であることは間違いないですし、歴史に興味がない人でも、この本を読むことでこんな視点があるのかと歴史に興味が持てるかもしれません。
ぜひ、ご一読ください。

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