「浅草迄」ビートたけし(北野武)が若き日を語る私小説

書籍

ビートたけし作の本「浅草迄」を読みました。


今作は「北野武」名義で書かれています。
小説を書くときは北野武名義なのでしょうか?
使い分けについてはよくわかりません。
以下、ネタバレしすぎない程度に紹介します。
文中敬称略。

内容紹介

今作はビートたけし(北野武)の幼い頃から大学時代、大学をサボってブラブラしていた時代までを描いています。
タイトルどおり、浅草で芸人「ビートたけし」になるまでの「北野武」について書かれているわけです。
「足立区島根町」「浅草迄」「随想・浅草商店街」の三部構成になっています。
私小説として扱われていますが、全編を通して、話し言葉で、たけしが昔を思い出しながら語る口調で書かれています。
「浅草迄」というタイトルは、おそらく夏目漱石の「彼岸すぎ迄」を意識していると思われます。
舞台が同じ東京の下町なので。

「足立区島根町」では、いたずらばかりしていた少年時代から、高校時代までが語られています。
ペンキ屋の手伝いをしていた話、外国人を嫌っていた親父が、たけしにガムをくれたアメリカ人に土下座する話、同級生のボロ屋を壊した話、教育熱心だった母親の話など、これまで「たけしくんハイ」などの北野武作品で語られて来たエピソードが主に紹介されています。
個人的には、西新井大師の池にいた亀を食べて、腹を壊したという話は初めて聞きました。

「浅草迄」では、高校の途中から始まります。
野球部に入っていたけれども、弱小でやる気のないクラブだったとか、特別なワルがいたわけでもないから、派手な喧嘩もなかったなんて書かれていました。
たいしたことのなかった高校生活だったとのこと。
そういえば、ビートたけしが高校時代のことを話しているのをあまり見たことがありませんね。
いつかビートたけしの歴史が語られるときが来たら、貴重な資料になるかもしれません。
途中から、大学に入ってからのエピソードになります。
こちらは、たけし自身がテレビなどで散々語っているように大学にはろくに通わず、ジャズ喫茶などに出入りして、バイトをしていた話が中心です。
ジャズ喫茶にはインテリぶった連中が集まって、政治論議ばかりしていたけれども、元々、理系である自分にはよくわからなかったとのことです。
有名な家賃を半年滞納したけれども、母親がこっそり払ってくれていた話も書かれています。
なお、これも私は初耳だったのですが、一時、たけしは生活費を稼ぐために、二種免許を取得してタクシー運転手をしていたそうです。
友人たちを乗せて遊びに行ったのでクビになったらしいですが。

最後の「随想・浅草商店街」では、当時、浅草にあった胡散臭い店や、店主たち、あるいは芸人たちについて語られています。
盗んで来た物を売っていた店やいつも「閉店セール」と書かれている店、煮込み料理の鍋を洗ったら、グローブの切れ端が出て来たなど、おおらかな時代と浅草という土地の独特の雰囲気を感じることができました。

私的感想

先述したとおり、全編を通じて話し言葉で書かれているので、読みやすく、スラスラと読めました。
内容的にはビートたけしの若き日をまとめた、集大成とでも言うべき作品ではないでしょうか。
1964年の東京オリンピックの話題なんかもあり、当時の習俗を感じることもできました。
今後は、浅草にたどり着いてからのエピソードが語られる続編が出るのでしょうか……
ただ、本の最後に「この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません」と書かれていました。
どこまでが本当の話で、どこまでが脚色されているのか、よくわからなくなりました。
しかしながら、ビートたけしファンなら必読の本かなと思います。
ぜひ、手にとって読んでみてください。

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