ビートたけし著「弔辞」自分への生前弔辞とお笑い論が書かれています。

書籍

表題の本を読みました。


70歳を超えたビートたけしが、この歳になって思うことが述べられています。
前半部分は自分が体験してきたテレビの世界などの裏話が、後半は最近のお笑いについて思うことや、自らのお笑い論が書かれていました。
社会風刺などもいつもどおりあります。

冒頭にビートたけし自身への生前弔辞が述べられています。
自分の生い立ちや父母のこと、学生時代のことなどが続きます。
これからの社会は大変だよというようなことが書かれ、最後は冗談で終わります。
臨終の瞬間の心配が書かれていました。
最後に普通にくたばりたくないと。
最後にギャグを言いながら死ねるかが気がかりだということです。
ちなみに、弔辞を書かないかと話を持ちかけて来たのが、あのフライデー事件で一悶着あった講談社であることを皮肉ってもいます。

前半は自らが体験してきたテレビやお笑いの世界について語られています。
芸人がコメンテーターになっているけれど、みんな「不倫はいけませんね」なんて、常識的なことしか言えなくなっていることを嘆いていました。
芸人なんだから「不倫なんていいじゃないか」と本来言うべきなのではないかと。
コロナ禍で仕事が減っている芸人の現状を嘆いてもいました。
漫才をしようにもソーシャルディスタンスを保てと言われたら、ツッコミさえできないと。
漫才という形式はもう終わりに近いのではないかと冗談抜きで思っているとのことです。
ドリフの「全員集合」と「ひょうきん族」との関係についても語られていました。
予定調和的によくできている「全員集合」の形式をぶち壊そうとして「ひょうきん族」は成り立っていたと。
だから王道である「全員集合」が終わると、邪道である「ひょうきん族」も終わってしまったと。
このあたりはビートたけしが以前から語っていることですね。
また、志村けんさんがコロナで亡くなったことについても触れられていました。
さらには他の著書ではあまり語られることのなかった、タモリと明石家さんまについても述べられていました。
これは珍しいことで、興味深く読めました。
「笑っていいとも」の企画が出たとき、ビートたけしにも声がかかったそうです。
しかし、「毎日出演するなんて冗談じゃない」と言って断ったとか。

中盤では両親のことなどが語られています。
このあたりは他の著書でもよく触れられている子供時代の逸話などが紹介されています。
一時期、話題になった今の奥さんとのことにも少しだけ触れられていました。
また、人間って意外と平等にできているんじゃないかとも述べられています。
「弔辞」というタイトルにふさわしいフレーズですが、「スティーブ・ジョブズだってあんなに儲けたけど、ガンひとつ治せなかったじゃないか」という主旨の一文がありました。
「貧乏人はちょっとした贅沢をしただけで感動できる、金持ちになるとそう感動しなくなる、どちらが幸せなのか?」という主旨の一文もありました。
働くということにも触れられていて、真面目に働いている人の方が偉いはずなのに、いつの間にか芸人の方が偉いかのようになっているのはおかしいとも述べられていました。

後半は「たけし、本気の芸論」という見出しで、自身の思うお笑い論が語られています。
このあたりはなるほどと思うことが多いので、実際に読んでもらいたいです。
「人間は不完全な生き物で、欠陥品である。だから笑いが生まれるんだ」という深い話が、ビートたけし特有の語り口調で書かれています。

最後は政治の話や社会風刺的なネタで締められています。
読んでみて全体的に思ったのは、ビートたけしが以前から語っていることの総決算的な内容だったかなと。
「人間なんて気取っているけど、みんな屁もすりゃ、クソもするんだ」
「葬式のときに誰かが失敗すると笑ってしまう。不謹慎なんだけど、それが面白い」
「コンプライアンスがどうこうとうるさい時代になって、芸人が面白くなくなった」
というようなことが書かれているわけですが、「弔辞」というタイトルにふさわしく、最後になってもいいから言いたいことを言っておこうかなという本に思いました。
ビートたけしは最近、滑舌が悪くなって、テレビでは何を言っているのかわかりにくいですが、本の中では饒舌ですし、頭もまだまだしっかりしているなと安心できます。
ぜひ、手にとって読んでみてください。

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