「意訳・平家物語」 入門書のようで結構深い内容の本でした。

書籍

はじめに

この本の正式タイトルは「美しき鐘の声 平家物語」です。
「意訳で楽しむ古典シリーズ」の一作なので、タイトルでは「意訳・平家物語」と記しました。
全3巻に分かれています。

なんとなく話は知っているけど、実際は読んでいない古典作品って多いと思います。
私にとって、平家物語はその中のひとつでした。
漫画では読んだことがあるのですが、活字で読んだことはありませんでした。

漫画ももちろん面白いですし、話の流れはよくわかります。
しかし、平家物語のベースにある諸行無常というテーマがうまく入って来ないように思いました。
ですが、いきなり平家物語の現代語訳を読むのも文量が多く、ハードルが高いので、このシリーズに手を出してみました。
結果は正解でした。

読みやすい本でした。

意訳本だけあって、文章は非常に平易に書かれています。
ふりがなもたくさん振ってあり、小学生でも読めるのではないでしょうか。
イラストもふんだんに使われています。
黒澤葵さんという方が描かれているようですが、なかなかいい絵柄です。
地図などもちゃんと用意されていて、例えば、今、源氏と平氏が戦っている戦場がどこなのかというようなことがわかりやすく示されています。
全3巻ですが、分厚い本でもなく、文量もそれほど多いわけではありません。
スラスラと読むことができました。

解説や原文もあります。

ところどころに解説があり、これも平易に書かれているので、非常にわかりやすく親切です。
また、原文も何箇所か記されています。
これは、大事な場面を格調高い原文でも読んでみてほしいという訳者の狙いであるようです。

私的感想

この本の訳者である木村耕一氏は「平家物語のテーマは『諸行無常』と『盛者必衰』です」と冒頭で記されています。
実際、書かれている文章を見ると、そのあたりを意識しているのがよくわかりました。
読んでいて、没落していく平氏側が気の毒に思えたくらいです。
木村耕一氏の他の著書を調べてみると、「親のこころ」「思いやりのこころ」といった道徳的な本を書かれているようです。
それだけにこの本からも人生訓みたいなものを学べるような書き方をされているようですね。
また、出版社の「1万年堂出版」も、その種の本を得意としている出版社であるようです。
「歎異抄をひらく」「なぜ生きる」などという本を出版しています。
そのあたりが、なんとなく説教臭くて好きではない人は手に取りにくいかもしれません。
しかしながら、私は特別、何か思想を押し付けられたような感じはしませんでした。
むしろ、面白く、平家物語が読めましたし、内容も理解できました。
この意訳シリーズ、今のところ、「方丈記」や「徒然草」などがあるようです。
今後も古典作品の出版が続くのかは不明ですが、他の作品も読んでみたいと思いました。

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