今村昌弘著「魔眼の匣の殺人」オカルト要素の入ったミステリーです。

書籍

はじめに

「魔眼の匣の殺人」は「屍人荘の殺人」で話題になった今村昌弘氏の二作目の作品になります。
「屍人荘の殺人」は殺人のトリックにゾンビを使うという斬新な設定も話題になりました。
映画化もされましたね。




この作品は「屍人荘の殺人」より、あとに起こった事件として時間軸が続いています。
なので、主人公とヒロインは前作と同じですし、斑目(まだらめ)機関という謎の組織を追いかけるという大きなテーマは続いています。
しかし、ミステリーとしては独立しており、単独でも楽しめる作品となっています。

基礎知識

主人公は「神紅大学」という関西の私立大学に通う一回生の葉村譲、ヒロインは同じ大学の二回生である剣崎比留子です。
前作に明智恭介という人物がいて、この人物がミステリ愛好会会長を務めていたのですが、前作で死亡したため、葉村譲がミステリ愛好会会長となっています。
剣崎比留子の方が年上ですが、後からミステリ愛好会に加入したので、会員という扱いになっています。
ヒロインの剣崎は奇っ怪な事件に巻き込まれる特異体質の持ち主とされており、いわゆる名探偵の資質を持っていることになります。
ヒロインがホームズ役で主人公がワトソン役という形で話は展開していきます。
前作では、湖の近くの別荘でゾンビ化した人間たちに襲いかかられるという体験をしています。
そして、多くの人間がゾンビ化した原因に、斑目機関と呼ばれる謎の組織が過去に行っていた研究が関係していることがわかりました。
主人公たちはミステリ愛好会の活動をしながら、斑目機関の謎を追いかけるのでした。

今作のあらすじ

主人公たちはオカルト雑誌「月刊アトランティス」に書かれた記事に「M機関」なる単語があるのを発見し、W県I郡にある真雁地区なるところを訪れることになります。
人里離れた真雁地区は、かつて斑目機関の研究所があったとされ、陸の孤島的な場所であることから、別名「魔眼の匣」とも呼ばれていました。
また、「魔眼」にはもうひとつ意味があり、その地区には斑目機関の研究対象になっていたというサキミという未来の出来事を予知できるという老女がいるのでした。
そのサキミが「近日中に男2人、女2人が死ぬ」と予言したことから、周辺住民はしばらくの間、住居を離れ、この地区につながる吊り橋を焼いてしまいました。
主人公とヒロインは、同じくこの地区を訪れようとしていた高校生の男女、偶然、この地にたどり着いた男女らとともに文字通り陸の孤島と化したこの場所で過ごすことになるのでした。
そして、予言通り、男女2人ずつが殺されるわけですが……

私的感想

綺麗にまとまった作品だと思いました。
前作、屍人荘の殺人は少し読んでいて、状況が把握しずらいところがあったのですが、この作品はわかりやすく読めました。
トリックのネタバレは避けますが、偶然の重なりが悲劇を生むのだという展開には納得できました。
さらに、犯人を暴くトリックだけではなく、そのあと、別の謎も解かれるので、実にすっきりとします。
前作のゾンビのような派手な存在はありませんが、陸の孤島に謎の予言をする老女など、舞台装置は横溝正史のミステリーを思わせるような要素が満載です。
斑目機関については、今回も解決しませんが、そういう一本筋の通ったテーマがあるのも話を面白くしていますね。
333ページある本ですが、文章は読みやすく、スラスラと読めました。
ご一読をおすすめします。

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