書評:「超一流・プロ野球大論」野村克也氏最後の書は江本氏との対談です。

書籍

はじめに

惜しくも2020年2月にこの世を去ったノムさんこと野村克也氏。
このノムさん最後の著書がこの本になります。

著書と書きましたが、ノムさんが書いたというわけではなく、江本孟紀氏との対談という形式になっています。
念のため書いておきますと、江本孟紀氏は元プロ野球選手で、南海ホークス時代に監督兼選手だったノムさんとともにプレイした選手です。
その後は野球評論家や国会議員として活躍されています。
南海ホークス時代は門田選手、江夏選手とともに「南海の三悪人」とノムさんに言われた方です。
「ベンチがアホやから野球できひん」というひとことを阪神タイガース時代、試合中に発言し、そのまま引退されたのでも有名です。

本の内容について

序文を野村克也氏が書いていて、あとがきを江本氏が書かれています。
江本氏はこの本が出版される前にノムさんが亡くなられて残念だと書いています。
本書の内容は野球について、ふたりが思うことを野球にちなんで9つのテーマに分けて語られています。
イニングという表記で各章が分けられています。
現在、2020年のプロ野球ペナントレースの開幕がコロナウイルス関係で遅れています。
しかし、この本が作られた段階では開幕前に読んでもらおうという意図があったのか、2020年の各球団の戦力分析もされています。
また、各チームの監督の采配などに触れているところも。
面白かったのは両氏がそれぞれ考える「歴代プロ野球選手ベストナイン」と「平成のベストナイン」「野村の教え子ベストナイン」が選出されていたところですかね。
それぞれの野球観がわかり面白かったです。
歴代というと過去の選手が選ばれがちですが、歴代、平成の両方に選出されていたイチローはすごいと思いました。
それ以外では、過去のふたりに関するトラブルの真相や最近のプロ野球界についておかしいと思うことが書かれていました。
メジャーへの選出流出や投球制限問題、クライマックスシリーズについてなどです。
金田正一氏への追悼もありました。
怖いものなしのふたりですから、忖度など一切なしで、今の野球界をバッサリと切り捨てられています。
そこは期待通りの内容です。

個人的に初耳だったこと

ノムさんの本は何度も同じネタが書かれていることが多いです。
個人的に何冊もノムさんの本を読んでいるのですが、初耳だったことをいくつか抜粋します。

1.江本投手はノーコンだったので、ノムさんはほとんど真ん中にかまえていた。
そうすると適度に球が散るのでちょうどよかった。
2.阪神時代、田淵捕手とバッテリーを組んだ江本投手は本当にサインがグー、チョキ、パーの3つしかなかったので驚いた。
3.門田選手はブーマーとハイタッチした際、肩を脱臼したが、それは過去に右肩を怪我したことがあり、はずれやすくなっていたこと。
歳をとって身体が弱っていたわけではない。
4.ミスターカープとでも言うべき山本浩二選手はノムさんの教えを受けた古葉竹識監督に指導されて芽が出た。
いわば、間接的なノムさんの教え子。
5.昔、ノムさんが一年だけ所属したときのロッテ(金田監督時代)は仙台が本拠地だった。
だから、後に楽天監督になった際、まったく仙台に縁がなかったわけではなかった。
6.阪神タイガースは人気監督を連れて来て、観客動員を増やす方法を覚えた。
その始まりがノムさんである。
7.ヤクルトスワローズは毎日100円でコツコツ飲料を販売しているヤクルトレディに忖度して、選手は外車購入禁止、新人は寮住まいでマイカー禁止だった。
しかし、長嶋一茂は契約金で、当時、国産最高車だったソアラを買って乗り回していた。

私の場合はこれくらいでしたが、他にも多くの裏話が書かれています。
詳しくは本書を読んでみてください。

最後に

それにしても、ノムさんはまだまだ多くのネタを持っていたのではないかなとも思います。
今回、江本氏と対談されたことで、思い出されたこともたくさんあったのではないでしょうか。
もっといろいろ話を聞いてみたかったですね。
急逝されたことが残念です。
今後、このような野球の生き字引的存在の人は現れるのでしょうか?
テスト生から這い上がり、三冠王、選手兼監督、監督として日本一に輝き、野球評論家、著述家としても一流……
本当に惜しい人を亡くしました。

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