「ドラえもん0巻」各話解説 少しネタバレあり

書籍

説明不要の名作漫画「ドラえもん」。
単行本がこれまでてんとう虫コミックスで45巻発売されています。
ですが、収録されているのは、いわゆる傑作選で、コミックスに収録されていない作品もたくさんあります。
(未収録作品を集めた作品集なども発売されています。)
元々、ドラえもんは小学館の各学年誌に掲載されていた漫画です。
「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」の6誌に掲載されていました。
(後に「小学五年生」「小学六年生」にも掲載されます。)
そのため、各学年ごとに第一話が存在します。
てんとう虫コミックス第1巻に掲載されているのは「小学四年生」の第一話です。
2020年、ドラえもん50周年を記念し、それら6作品をすべて読めるよう「ドラえもん0巻」として発売されました。

今回、ついに読む機会に恵まれたので、各作品を紹介させていただきます。

ドラえもん0巻収録作品

ドラえもんあげる(よいこ)

4ページしかない作品なので、いきなりドラえもんとセワシくんが机の引き出しから出てくるところから始まります。
「おとしだまにドラえもんをあげる」とセワシくんがのび太に言うのですが、のび太はいらないといいます。
そんな中、ママから手紙を出してきてと言われるのび太。
それを見たドラえもんはポストを運んで来ます。
「役に立つだろ?」とセワシ。
すると、雨が降って来ます。
「おとうさんに傘を持っていかなくちゃ」というのび太。
するとドラえもんはある行動に……

ドラえもんがやってきた背景などが何も説明されていないのが特徴です。
また、「パパ」という呼称ではなく「おとうさん」と呼んでいました。
なお、カラー原稿です。

ドラえもんがやってきた(幼稚園)

こちらも4ページしかないので、いきなり机の引き出しからセワシとドラえもんが現れます。
「よいこ」と同様、「あげる」と言われても「いらない」と答えています。
外に出たのび太。
ジャイアンとスネ夫が凧揚げをしています。
「ぼくにもさせて」と凧揚げをさせてもらうのび太。
しかし、ドジなので凧を壊してしまいます。
「元通りにしろ」と怒るスネ夫。
そこにドラえもんが現れ、手に持ったライトを当てると凧が元通りに。

こちらもカラー原稿です。
ジャイアンとスネ夫が登場しますが、セリフがあるのはスネ夫のみ。
ジャイアンは身体が大きいもののボーッとした感じです。
鼻も赤く描かれていました。
スネ夫は「のび太」と呼びつけにせず、「のび太くん」と言っています。

ドラえもん登場!(小学一年生)

犬に追われ、ドブに落ちたのび太が泣きながら家に帰って来ます。
「どうしたの?」と驚くママ。
パパから頼まれた手紙もドブに落として出せませんでした。
しかし、ふたりとものび太を許します。
「ふたりとも優しいな」と安堵するのび太。
しかし、「だから、だめなんだ」という声が聞こえ、机の引き出し中からドラえもんとセワシくんが出てきます。
驚くのび太。
「変な子が来たんだ」とママを呼びに行きますが、ママは信じません。
「君を助けに来たんだ」というドラえもんとセワシ。
「一年生にもなっておつかいもできないなんて」と言われたのび太は「それくらいできる」と言うのですが……

カラー7ページの作品。
ドラえもんがタケコプターもなく空を飛んでいます。
しずかちゃん(ただし、名前表記はなし)も登場します。

未来から来たドラえもん(小学二年生)

のび太が部屋で歌っているところから始まります。
かくし芸の練習でした。
しかし、ママがうなり声と勘違いして、部屋にやってくるくらい下手です。
何かないかなと机の引き出しを開けると、そこからドラえもんとセワシくんが。
通知表を見られたり、力もないところを確認されるのび太。
「変な子がいる」とママを呼びに行きますが、もちろん、信じてもらえません。
ドラえもんとセワシが自分たちのことや、将来のび太がろくな大人にならないことを説明します。
「馬鹿にするな!」と怒ってバットを振り回し、一旦ふたりを追い出すのび太。
ところで、かくし芸大会に早く来いと連絡が入ります。
ネタがないままとりあえず向かうのび太。
ドラえもんが姿を消して、あとをつけます。
出番が来てもネタがないのび太はドラえもんに助けてもらいますが……

カラー10ページの作品。
ジャイアン、スネ夫、しずかが登場します。
このときしずかちゃんのバイオリンは上手という設定になっています。
また、ドラえもんはシッポを引っ張ると消える設定にもなっています。
のび太がタケコプターを手に持って飛ぶのも珍しい姿もありました。

机からとび出したドラえもん(小学三年生)

お年玉をもらい喜ぶのび太。
引き出しにお年玉を入れます。
すると、引き出しから「いいなあ、こんなにもらって」とセワシの声。
「ぼくなんか50円だよ」と嘆き、「しっかりしてよ、おじいさん」と身体を揺さぶられます。
未来からセワシのママの声がして、一旦、引き出しの中に戻るセワシ。
すると今度は引き出しの中から「オッス」とドラえもんが登場します。
驚いて、パパとママを呼びに行くのび太。
もちろん信じてもらえません。
「ぼくは頭がおかしくなったのかな」と頭をひねるのび太。
すると、今度はセワシとドラえもんが登場し、事情を説明します。
「なにをやってもだめ」と本当のことを言われ、怒るのび太はまたしてもバットを振り回します。
おもしろくないのび太は階段で転んでから、しずかちゃんの家に行こうとします。
すると、ドブにはまる高校生の姿が。
「それは9年後の君の姿だよ。大学をすべってくよくよしているところ」とタイムテレビでドラえもんが見せたのでした。
怒るのび太。
それでもしずかちゃん宅に行き、ババ抜きに参加します。
もちろんビリ。
そこにやってきたのが「ゴム紐を買って下さい」という落ちぶれた大人のび太。
「15年後の君の姿」と言われます。
続いて20年後の姿を見せられますが、そこには貫禄があり、パリッとした服装ののび太が。
「宝くじに当たって会社を作ったんだ」とのこと。
しかし、すぐ「1年後につぶれる」と続き、物乞いをしているのび太の姿に。
「そのときの借金が多すぎて、僕のお年玉は50円なんだ」というセワシ。
そこでドラえもんが送り込まれてきた経緯が説明されます。
そのあとドラえもんのおかげでトランプに勝つのび太。
ドラえもんを信用しますが、帰り道、ドラえもんはドブに落ちてしまうのでした。

モノクロの13ページ。
セワシやのび太を呼び捨てにしているドラえもんが特徴的でした。
セワシもドラえもんのことをあまり出来がよくないと言っています。

未来の国からはるばると(小学四年生)

のどかなお正月を楽しんでいるのび太。
すると、机の中から「30分後には首つり、40分後には火あぶり」などと不吉な声が。
机の中から現れるドラえもん。
「君はこれからろくな目に合わないんだよ」とまで言われます。
餅を食べて、「ごちそうさま」と一旦帰るドラえもん。
夢でも見たのかな……とのび太が考えていると、今度はセワシが現れます。
未来からやってきた経緯が語られ、将来、ジャイ子と結婚することを知らされます。
「うそだ!」とホウキを振り回し、ふたりを追い返すのび太。
騒ぎを聞いて、パパとママがやってきますが、もちろん信じてもらえません。
「たいした空想力だ。漫画家にでもなれば成功するかもよ」と言われる始末。
しかし、その後、首つりと火あぶりが的中します。
さらに未来の姿が写ったアルバムを見て、「生きているのが嫌になった」と嘆くのび太。
「でも、それを助けるためにぼくが来たんだ」と力強くドラえもんが断言するのですが……

モノクロ14ページ。
コミックス1巻に収録されている作品で、当初のタイトルは「ドラえもんあらわる」でした。
1巻に収録されているのは、この0巻に収録されている作品を再編したもので、こちらが原型となります。
タケコプターは、まだヘリトンボと呼ばれています。

その他の収録作品

特別収録作品として、「愛妻ジャイ子」「ハイキングに出かけよう」「ドラえもん誕生」が収録されています。
「愛妻ジャイ子」は将来妻になるかもしれないジャイ子に今のうちに嫌われておこうとたくらむ作品です。
「ハイキングに出かけよう」は小学五年生に第一話として掲載された作品で、ドラミちゃんが登場します。
このときのドラミはまだしっかりものではなく、道具の扱いが下手な未熟な設定です。
「ドラえもん誕生」は作者がドラえもんを生み出す体験談を漫画にした有名な作品です。
あと、各話についての解説やトキワ荘の写真なども掲載されています。

私的感想

どの作品も楽しく読めました。
むしろ、今まで一部でしか公開されていなかったのがもったいないと思ったほどです。
のび太のパパが会社経営者だったり、パパとママがのび太に甘いところ、しずかちゃんのバイオリンが上手だったりという現在と違う設定のゆらぎはあります。
ですが、そういう当初の設定があったんだと面白く読めました。
かなり売れたと報道されていましたが、納得です。
ドラえもんファンなら、ぜひ読んでおきたい一冊ですね。

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